中国新聞


広島県内中小企業の子育て支援 
「行動計画」づくり低迷
担当職員を派遣し説明


 広島県内の中小企業で、次世代育成支援対策推進法に基づき従業員向け子育て支援策を盛り込む「行動計画」づくりが遅れ、未策定のうち半数近くが「具体的な策定方法が分からない」としていることが、県のアンケートで分かった。県は制度が十分に浸透していないとみて、担当職員を企業に派遣して説明するなど計画づくりを促す取り組みを強める。

 アンケートは職場環境の実態を把握するため昨年六月、県内に本社を置く常勤従業員三十人以上の企業二千五百社を対象に郵送で実施。八百八十社(回答率35・2%)から回答を得た。

 行動計画を策定する義務がある従業員三百一人以上の企業八十五社は、策定済み、策定予定が計98・8%を占めた。

 一方、計画策定が努力義務となっている三百人以下の企業七百九十五社では、策定済みはわずか3・5%。今後予定するのも0・6%しかなく、43・1%は「検討中」、50・4%は「難しい」とした。行動計画自体についても「詳しくは知らない」41・3%、「知らない」35・2%で、浸透不足が浮き彫りとなった。

 策定していない理由(複数回答)は「具体的な策定方法が分からない」が47・6%でトップ。「時間的余裕がない」が43・5%で続いた。

 このため県商工労働部は、一昨年六月に県庁内に設けた「両立支援企業応援コーナー」での助言に加え、職員が直接出向く活動に力を入れ、企業の取り組みを促す。

 策定した行動計画の内容(複数回答)で多かったのは「時間外労働の縮減」48・7%、「有給休暇の取得促進」48・7%、「職場復帰に向けた体制の見直し」35・0%―の順。策定効果(複数回答)としては「労働意欲の向上」が54・1%で最多だった。

 県によると、昨年十一月末時点で広島労働局に行動計画を届け出た企業は計五百六十八社。このうち、県が二〇〇九年度末までに策定率25%達成を目指す百人以上三百人以下の企業は五十四社で、この規模の県内企業(〇四年で六百十一社)に占める割合は8・8%にとどまっている。(村田拓也)


 次世代育成支援対策推進法 次世代を担う子どもが健やかに生まれ、育つ環境をつくるため、自治体や企業が果たすべき役割を定める。2005年4月の全面施行で、従業員301人以上の企業に行動計画の策定を義務化。300人以下にも努力義務を課した。父親の休暇取得促進や情報技術(IT)を活用した自由な働き方の導入、託児室の設置などを盛り込む計画が多い。

(2008.2.1)


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