中国新聞


産科医師 大田圏域 1人の恐れ
市、出産受け入れ制限検討


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産科の常勤医師が1人になる可能性が出ている大田市立病院

 島根県石見地方東部の拠点病院である大田市立病院で、新年度途中にも産婦人科の常勤医師が一人になる可能性が浮上したため、市は医師確保と並行して出産の受け入れ制限の検討を始めた。医師確保のめどは立っておらず、大田市と隣接の邑智郡を合わせた大田圏域(人口約六万三千人)で常勤の産科医師が一人になる可能性も出てきた。

 同病院によると、島根大医学部から派遣されている産科の常勤医二人のうち一人が新年度途中で他の病院に転出する。医師不足のため、島根大から後任は派遣されず、市独自の医師確保も現時点でめどは立っていない。

 大田市では、市立病院と産科の開業医一軒が年間に約三百件の出産を担ってきた。この開業医も今月末で七十四歳になるのを機に分娩(ぶんべん)扱いをやめる意向で、このままでは大田圏域の産科医は一人になる。

 市立病院での分娩扱いは産科医が一人になっても非常勤医師の応援で続けられる見通しだが、「一人で年間三百件は困難」(岡本彰弘総務課長)という。このため里帰り出産の制限など受け入れ条件の見直しを検討するほか、病院と診療所の機能分担に向け、市医師会などと調整する。四月に市立病院内に医師確保対策の専門部署を設け、市出身の医師への働き掛けにも努める。

 同病院では、今月末で退職する外科と消化器科の医師各一人の補充も未定。二〇〇三年度に三十六人いた常勤医師は新年度当初には二十七人まで減る見通し。看護師不足もあって昨年十二月から五階病棟を休止している。(馬場洋太)

(2008.3.7)


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