中国新聞


盲・ろう・養護
総合支援学校スタート
12校2分校2病院内学級 5障害に対応


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 山口県内の盲・ろう・養護学校が八日、幅広く障害のある子どもを受け入れる「総合支援学校」として、新学期をスタートさせる。県教委は「一人一人のニーズに合った教育を提供する」とし、児童生徒は最寄りの学校に通えるようになる。

 総合支援学校は十二校二分校二病院内学級で、計約千二百五十人が通学する。二〇〇七年の学校教育法改正で障害児を特別の場で教育する「特殊教育」から、発達障害も含めすべての学校で対応する「特別支援教育」へ転換した。視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱の障害ごとに受け入れた盲・ろう・養護学校は、校名を変更し原則五障害に対応する。

 旧聾(ろう)学校の山口南総合支援学校(山口市)は産業科を新設、就労を目指す軽度の知的障害児九人が入学。旧周南養護学校として主に肢体不自由を対象にしてきた周南総合支援学校(周南市)には旧聾学校の児童が転入する見込み。

 教育体制は都道府県ごとに決めるが、五障害への対応は全国的に珍しいという。各学校がすべての障害に対応することから、校名は「特別」ではなく「総合」を冠した。

 県教委特別支援教育推進室の藤田健二次長は「児童生徒の自立や社会参加を考えると、身近な学校に通って地域で育てるのが重要。医療や福祉との連携も強めたい」と話す。(高橋清子)


専門教育の必要性訴え
保護者や教員

 総合支援学校が一校で五障害に対応することに、保護者や教員の間からは不安の声も漏れる。

 県障害児の教育を進める会は見直しを求め、昨年十一月と今年年二月、保護者や教員約三万二千人の署名を県教委へ提出。山本祐三副会長は「視覚や聴覚障害のノウハウがないなど安易な五障害対応は問題。各学校がどの障害を担うのか専門性は必要」と訴える。

 県教委は、県特別教育ビジョン実行計画推進委員会で引き続き議論する。委員長の吉田一成・山口大教育学部長は「答えはすぐに出ない。よりよいシステムにつくり上げることが大切」と受け止める。

(2008.4.8)


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