中国新聞


食材難が給食を直撃
中国地方 献立変更や値上げ


 中国製ギョーザ中毒事件による中国産食材の不足と、小麦・乳製品の高騰が、中国地方の学校給食を直撃している。材料費が給食費を上回って値上げに踏み切ったり、食材が仕入れられずに献立の変更を余儀なくされたりするなど、多くの教育委員会は対応を迫られている。

 広島市によると、五月分を一食百九十六円と算定していた小学校の一食の材料費は、二百十四円程度に膨らみそう。六月中には十年ぶりとなる給食費(小学校二百円、中学校二百四十円)の値上げについて検討を始める。

 中国地方では、すでに東広島市、岡山市が四月から給食費を一食当たり十―二十円値上げした。福山市は七月に市教委と保護者らが協議し、二学期以降の値上げを判断する。周南市は「同じ状況が続けば検討に入る」との意向を示す。

 農林水産省の調べでは、中国産野菜の三月の国内輸入量は前年比で44・5%減少した。給食食材の入札権を持つ広島市南区の食品輸入業者は「中国政府が輸出検査を厳格化し、品物の量が激減した」と説明する。この影響で、広島市が調達した中国産冷凍枝豆の値段が、前年の約一・五倍になるなど、軒並み中国産が高騰している。

 小麦や乳製品の値上げも響く。広島市の四月用の給食食材で見ると、約三分の一にあたる四十九品目で10%以上高くなっていた。スパゲティは81%、カットチーズは73%も前年より値を上げていた。

 献立にも影響が出ている。一万食のブロッコリーがない―。広島市学校給食会が実施した入札。安定した価格で購入できた中国産ブロッコリーに「在庫も入荷予定もない」と手を挙げた業者はなかった。急きょ、中学校の四月の献立「ブロッコリーのスープ煮」を別の品に変更。五月は中国産冷凍そらまめが確保できなかった。

 市教委給食保健課は「給食の質は落とせない。値上げをして地産地消を強化することも含め保護者から意見を聞きたい」とする。

 福山市は四月以降、節約のため食材選びを工夫する。牛肉より鶏肉を使う頻度を増やしたり、パンにジャムを添える回数を減らしたりしている。ギョーザ中毒事件以降、すべての中国産食材の使用を中止した呉市は「旬の安価な食材の調達に努め、値上げを回避したい」と説明している。(水川恭輔)

(2008.5.10)


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