中国新聞


体験重視の科学塾設立
丸暗記に疑問 退職の元教頭
西区に6月 考える力養う


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私塾の開設へ向けて、顕微鏡の手入れをする久家さん

 元県立高の教頭久家(くや)光雄さん(54)が六月、広島市西区己斐本町で、実験や生物観察などの体験学習を通じて児童、生徒の考える力を養う「科学創造塾」を始める。受験教育に疑問を感じ早期退職し、全国でも珍しい科学の私塾の開設に踏み切った。

 小学校の低学年、中学年、高学年と中学・高校生の四クラスを設ける。定員は約十人。週一回、授業をし、教材費を含め月額約一万円を予定する。

 顕微鏡を使ったゾウリムシの細胞観察、空気の体積変化など実験を中心に授業を構成する。川辺の生物などの野外調査にも力を入れる。夏休みに沖縄県の西表島での自然学習も計画。発見や気付きを子どもが議論し、理解を深めるよう導く。

 久家さんはキャリア約三十年の理科教諭。今年三月、定年まで六年を残して退職した。「いまの学校現場は、短期的に成績が上がる暗記型教育をせざるを得ないのが実情だった」と自戒も込めて振り返る。

 実験の機会が減ったことが「理科離れ」を加速させた、との思いを募らせる久家さんは「体験から得た感動や喜びは学ぶ意欲につながる」と強調している。Tel070(5520)4331。(貞末恭之)

(2008.5.22)


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