中国新聞


分娩施設・病棟維持へ
産科休診中の呉共済病院
6万人署名に応え


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分娩施設や産科病棟を維持する方針を決めた呉共済病院

 呉圏域の産科医療集約化で、今春から産科を休診している呉市の呉共済病院が、予定していた産科病棟の取り壊しと救急病棟への改築を中止し、分娩(ぶんべん)施設や病棟を維持する方針を決めたことが22日、分かった。市民が県に提出した休診撤回を求める6万人以上の署名に応えたとしており早期の産科再開を目指す。

 年間六百件の分娩を引き受けてきた共済病院は、市内の公的二病院への集約化で三月下旬から休診。週二回、婦人科の外来診療だけをしている。病院は広島大による医師引き揚げが決まった段階で、いったんは産科の存続を断念していた。

 そうした中、呉市商店街連合会が休診撤回を求める署名活動を開始。三月下旬、藤田雄山知事に六万四千六百十八人分の署名を提出した。これを受け、共済病院側も救急病棟への改築を白紙に戻したという。

 さらに、集約化後も公的二病院の医師の負担が軽減されていない実態などもあり、共済病院は関係機関と協議して医師を確保し、産科再開を目指す。小野哲也院長は「『市民病院』として地域に愛されている医療機関だけに、市民の期待や要望に最大限応えたい」と意欲を示す。

 一方、市や市議会も産科の公的三病院体制と安心できる医療環境を求めて働き掛けを強化するという。署名を集めた呉市商店街連合会の横山尚佳会長は「市民の声が届いた結果で、一日も早い産科再開を願う」と話している。(吉村明)


クリック 呉圏域の産科医療集約化 呉圏域の産科医療集約化 県や広島大などでつくる県地域保健対策協議会が昨年、県内七つの二次保健医療圏ごとに医師を基幹病院に集約化するとした方針に基づく。広島大が共済病院に派遣していた産婦人科医師3人を引き揚げ、国立病院機構呉医療センターと中国労災病院に集約。医師数は呉医療センターが7人、中国労災病院が6人となっている。

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