中国新聞


5県の公立校調査
耐震性公開に温度差


中国地方5県の
学校耐震性の公表状況
  全市町村 公表に積極的な市町村
広島 23
山口 20 20
岡山 27 19
島根 21 14
鳥取 19 17

 文部科学省が二十日発表した全国の公立学校施設の耐震状況などに関する調査で、中国地方の五県や市町村で、学校ごとの耐震性の情報公開に対するスタンスの違いが明らかになった。特に広島県や県内市町では「混乱を招く」との理由で消極姿勢が目立つ。十八日施行の改正地震防災対策特別措置法は公立小中学校について施設別の耐震性の周知を求めており、今後の対応が問われそうだ。

 文科省が四月一日現在で、公立学校施設の耐震状況とともに、県や市町村が学校の耐震性を公表しているかどうかについても実態調査した。その結果、中国地方では広島県と島根県が県立学校別の公表を控えていた。

 広島県教委施設課は「耐震基準を満たしていない学校には、子どもを通わせたくないという保護者の反応など、混乱を招きかねない」と理由を説明。学校によっては、災害時の地域の避難所に指定されている施設もあるが、耐震性の有無について住民にも分からない状態になっている。

 一方、ホームページで一般公開しているのは岡山県、鳥取県。山口県も問い合わせに回答している。

 岡山県教委財務課は「計画的に耐震化を進めていく考えを学校単位でPTAに説明し、昨年十二月から公表した。現状を県民に知ってもらうことは必要」と説明。特に混乱はなかったと強調する。

 各県の姿勢を反映するように、主に小中学校を管轄する市町村の対応にも違いがある。広島県内二十三市町のうち公表、または本年度中に公表予定があるのは九市町にとどまる。一方、県内全二十市町が公表済みか公表予定の山口県をはじめ、他の四県では、いずれも半数を超える市町村が積極的だった。

 改正地震防災対策特別措置法で、国は公立小中学校施設の耐震化を促進するため、市町村への補助率を二分の一から三分の二に引き上げる。その一方で、学校ごとに耐震化の状況を地域住民に知らせるよう求めている。

 まだ公表を予定していない広島市教委施設課は「混乱を招かないよう公表方法も含めて今後、検討したい」としている。(永山啓一)

(2008.6.21)


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