中国新聞


岩国・和木の児童医療無料化
岩国医療センター成育医療診療部 守分正部長に聞く


 岩国市と和木町は、十月一日から米軍再編交付金の一部を財源にして小学六年生までの子どもの医療費を原則、無料化する。子育て環境の充実が期待される一方、医療現場からは軽症でも安易に救急外来を利用する「コンビニ受診」の増加を懸念する声もある。

 小学生までの医療費無料化を前に、国立病院機構岩国医療センター成育医療診療部の守分正部長(48)に岩国市での小児救急の現状などを聞いた。(和多正憲)

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「小児医療はどこも崩壊寸前。(岩国医療センターでは)患者が少ないから何とかもっている」と話す守分部長

 ▽小児救急の85%は軽症

 −岩国医療センターの小児救急の現状は。

 外来患者は一日百十人くらい。そのうち救急は二十―三十人程度。街中の大きな病院の救急ほど多くない。幸いにしてコンビニ化には至っていない。中心市街地から離れた場所にあり、「重症でないと受診できない」という感覚が保護者にあるのだろう。ただし、救急のうち八割五分は軽症。薬だけで帰れる。入院や点滴が必要な重症例は少ない。

 −医療費の無料化で「コンビニ受診」は増えるでしょうか。

 影響はゼロではない。ただし、小児救急は未就学児の方が多い。現在、小児救急の年齢層の四分の三は六歳以下が占める。小学生になってから病気になる子どもは少ない。買い物とは違うので、無料だから来るという人は少ないだろう。

 −全国で保護者による小児医療の勉強会が活発です。

 みんなで話し合う機会をつくることは、小児医療の底上げにつながる。病院に行くべきかを、親が判断することは大事。普段から子どもの症状をよく見ることになるから。自分の子どもにあったオーダーメードの医療が必要だ。特に夜間の子どもの病気は、保護者がパニックになりやすい。日ごろからかかりつけ医とコミュニケーションを取り、子どもの表情をよく見てほしい。

(2008.9.24)


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