中国新聞


広がるチャイルドライン
いじめや恋愛… 無料で電話相談


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共通フリーダイヤルで活動するチャイルドライン。中国地方の工夫が全国に拡大、定着した

 ▽中国地方で成功 全国へ

 いじめや恋愛など、子どもの悩みに電話で応じるチャイルドライン(CL)。中国地方の八団体が昨年五月、全国に先駆けて共通フリーダイヤルを始めたところ、寄せられる相談が急増。活動日が限られる民間ボランティアが連携する試みは、中国地方での成功を受け、全国に広がった。

 地元の団体が休みでも日曜を除く週六日、他団体に無料で電話がつながる態勢を整えた結果、共通番号を設定する前の二〇〇七年度と比べると、〇八年度の相談件数は八団体とも増加した。

 週四日活動するひろしまCL(広島市西区)は前年度比一・五九倍の七千四百二件に増加。CLしまね(松江市)は一・八八倍、CLおかやま(岡山市北区)は一・四二倍、CLやまぐち(宇部市)は一・三二倍と伸びが顕著だった。

 NPO法人チャイルドライン支援センター(東京都)によると、中国地方の動きを受け、東海地方と長野県がまず同様の連携を実施。ここでも相談件数が伸びたため、連携は全国に拡大。現在は、活動中の三十六都道府県、六十六団体のCLすべてが、共通フリーダイヤルを使う。

 同センター事務局は「話し中でつながらない、ということが減った。安心感が子どもに支持された」と評価する。ひろしまCLの上野和子さん(58)は「地方の小さな団体では、相談員や電話回線の数に限界がある。連携が全国規模に広がったことはうれしいし、ありがたい」と手応えを実感する。

 一方、相談件数の増加により、相談員は不足気味だ。家庭の経済問題やインターネットや携帯電話を使ったいじめなど、相談内容も幅広くなり、人材養成が急務となっている。(石川昌義)

<中国地方のチャイルドラインの活動実績>
団体名と事務局所在地 2007年度 2008年度 増加幅 受け付け態勢
ひろしま(広島市西区) 4647 7402 1.59倍 週4日
びんご(福山市) 484 560 1.16倍 月4日
やまぐち(宇部市) 1850 2442 1.32倍 週1日
岩国(岩国市) 558 1269 ※2.27倍 週1日
おかやま(岡山市北区) 2762 3920 1.42倍 週2日
つやま(津山市) 1876 2001 1.07倍 週1日
しまね(松江市) 625 1176 1.88倍 月6−7日
うさぎのみみ(倉吉市) 1072 1193 1.11倍 週1日
 ※は07年7月に発足


クリック チャイルドライン 欧州で生まれ、日本では1998年に東京都世田谷区で始まった子どもの悩みの電話相談。秘密厳守▽匿名▽どんなことでも一緒に考える▽嫌なら電話を切っても構わない―を「約束事」として掲げる。対象は18歳未満。全国共通のフリーダイヤル0120(99)7777。月―土曜、午後4時から同9時。

(2009.4.28)

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