中国新聞


乳型祈願(広島県世羅町赤屋)
子育て 親の思い不変


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「子を思う親の気持ちが伝わります」と乳型を見上げる生田住職

 広島県世羅町赤屋の報恩寺観音堂は別名「子育て観音」。古くから「お参りすれば乳の出がよくなる」と信仰されてきた。四方の外壁には祈りを込め無数の乳型が奉納されている。

 乳型は布製の手作り。台風などで落ちると処分されるが、古びて茶色く変色したまま残っている乳型もある。古い乳型には乳房が四つあるものが多い。管理をしている文裁寺住職生田秀昭さん(59)が「農耕用に牛を飼っていたころのもの。出産後、乳が出ないと農家の死活問題でしたから」と説明してくれた。

 牛のための祈願はなくなったが、「健やかに育ってほしい」という親の願いは変わらない。今も1カ月に一つずつくらい、新たな乳型が奉納される。

 境内には「乳石」と呼ばれる高さ1メートルほどの石塔があり「くぼみのしずくを飲むと乳の出が良くなる」との言い伝えもある。(梅原勝己)

(2009.7.18)


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