中国新聞


県立高校再編計画決まる 白木・大和募集停止


 広島県教委は6日、教育委員会議を開き、白木高(広島市安佐北区)、大和高(三原市)の生徒募集を来春から停止することを決めた。両校は現在の1年生が卒業する2012年3月末で廃校となる。また聴覚障害のある生徒が通う広島南特別支援学校呉分校(呉市)と尾道特別支援学校(尾道市)の高等部の募集停止も決めた。

 白木、大和はともに1学年1学級の全日制普通科校。白木は1学年1学級となった07年度以降、毎年40人の入学定員は満たしていたが、地元の白木中の卒業生の入学者が1割程度に低迷していた。大和は1982年度以降、入学定員割れが続いていた。

 榎田好一教育長は会見で「入学者が少ないことや、地元の必要度という二つの視点から決めた」と説明した。

 白木は27年に設立された私立の高田中学院が前身。54年に県へ移管された。大和は世羅高の神田分校と豊田分校の統合で63年にできた大和分校が前身。81年に本校となった。

 また、高等部の募集停止が決まった広島南・呉の在校生は1人、尾道は2人で、在籍者が少ない状態が続いていた。両校の募集停止後、聴覚障害者の専門教育をする高等部があるのは広島南特別支援学校(広島市中区)だけとなる。(永山啓一)


決定遅れ 進路に影響も

 【解説】毎年、繰り返される県立高校の再編をめぐる混乱。今年は県教委の決定の遅れがさらに拍車を掛け、従来夏休みまでに終える中学3年生の進路指導にも影響を与えた。

 県教委は昨年度まで7月中に次年度の募集停止の対象校を決定してきた。正式決定のわずか1週間前に保護者たちへ伝えていたが、「説明不足」との批判を受け、今年は8月に決定を遅らせて周知期間を設けた。だがこの間の説明は十分ではなく、逆に混乱を大きくさせたようにみえる。

 県教委はぎりぎりまで豊田高(東広島市)の募集停止を検討した。保護者説明会まで開いたが、最終的な決定は見送った。「近隣の中学生の進路確保が難しくなる可能性があった」との理由を挙げたが、県教委の説明だけでは、停止となった他校との違いに具体的な根拠があるとは思えない。

 高校は、地域にとっての大切な活性化資源でもある。再編計画が、県教委の「一方通行」では来年も、同じ混乱を繰り返す。(永山啓一)


(2009.8.7)

【関連記事】
白木・大和、募集停止へ 広島県立高再編 (2009.8.6)
小規模校の動向初公表 高校再編で広島県教委 (2008.11.28)



子育てのページTOPへ