中国新聞


小児救急 夜間に集中
広島市立舟入病院 新型インフル流行で昨年の倍


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発熱などの症状で受診に訪れた親子連れで混雑する広島市立舟入病院の待合室(14日午後9時ごろ)

 新型インフルエンザの流行を受け、広島県西部で唯一、24時間365日体制で開設している広島市立舟入病院(中区)小児救急の夜間の患者が昨年の倍近くに増えている。医師の急な増員も困難な中で、患者分散のため「なるべく昼間、近くの医療機関で受診を」と呼び掛けている。(治徳貴子)

 ▽「昼間 近くの医療機関を」

 土曜日の午後9時すぎ。待合室は親子連れで埋まっていた。発熱した長女(10)を連れてきた広島市安佐南区の女性(46)は「インフルエンザなら早く薬を飲んだ方が熱が下がると思って」。1時間近くの待ち時間に「早く帰って休ませたいが」と不安そうな様子。同区の男性(38)は「日曜日が仕事なので」。夜間の受診はやむを得ない事情としながらも、疲労の表情を見せた。

 10月に小児救急を夜間帯(午後5時15分〜午前8時半)に受診した患者は4150人。1晩平均133人で、昨年同月の69人の約2倍にあたる。さらに、11月に入り、12日現在で1晩平均178人と増加している。

 同病院の場合、夜間の方が患者が多いのが特徴。夜間帯の患者数が昼間帯(午前8時半〜午後5時15分)を上回った日が、10月は31日中、27日あった。

 病院側は夜間帯のうち、患者が多い土・日曜日の午後5時15分〜午前0時は昼間帯より多い4人で対応する。ただ、午前0時〜8時半は、どの日も1人。このため、午前0時までを担当した医師が残って診療に当たるなどしている。

 同病院の小児科医師は10人で、広島大や市医師会にも医師の応援を求めている。今月上旬から看護師を補助する看護助手3人も雇うなど新型インフルエンザへの対応に懸命だ。

 ただ、「医師の増員は、それに伴って必要な看護師確保の難しさから見通しは厳しい」と藤田悟事務長。同病院では、深夜まで勤めた医師が翌朝から通常勤務するケースもあり、医師側の疲労も増している。季節性インフルエンザの本格流行期とも重なる冬場を前に、藤田事務長は「医療事故を防ぐためにも、過剰な負担をかけないようにしなければならないが」と頭を抱える。

 医師も疲労し、患者側も待ち時間が延びる夜間帯への集中。「それを避けるため、救急でない患者は分散受診をお願いしたい」と同病院。岡野里香小児科部長は「深夜に子どもが長時間、病院で待つと具合も悪くなる。ぐったりとしている、息が苦しそう、呼び掛けても反応が鈍いなどの重い症状がなければ、家で安静にして翌朝、近くの医療機関を受診してほしい」と呼び掛けている。

(2009.11.20)

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