中国新聞


学力不振打開 授業例パンフ
福山市教委
小中学校に配布 「定着調査」基に作成


2009年度基礎・基本定着状況調査の
正答率平均(%)
  福山市
小学5年 国語 75.5 (75.0)
算数 79.9 (79.8)
中学2年 国語 73.2 (75.0)
数学 66.4 (69.7)
英語 59.2 (65.2)

 福山市教委は、分かりやすい授業の実践例をまとめたパンフレット「授業を変えれば子ども・学校が変わる」を作り、市内の小中学校に配布した。広島県教委の調査では、福山市の子どもの学力は県平均を下回るケースが多く、市教委は不振の一因は授業にもあるとみて異例の措置を取った。

 県教委が6月に実施した基礎・基本定着状況調査で、福山市の児童・生徒の誤答が目立った設問のうち、中学生は国語と数学、英語から各2題、小学生は国語と算数から各2題を抽出。教科書やドリルを基に類似問題を作成し、子どもの思考力を高める指導のこつや授業をまとめる手順などを、各題ともA4判1枚に収録した。

 正答率平均が33・5%だった中学生の英作文(県平均48・2%)では、動詞の語形変化を復習した上で@パートナーが作る日本文を英語で話すA英問英答に発展させる―と助言。41・0%だった小学生の国語の読解(同45・2%)では、あらすじを要約させたり、登場人物の心情を記述させたりするよう促している。

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福山市教委が作成した授業実践例のパンフレット

 県教委や市教委によると、同市では本年度、小学5年生約4300人と中学2年生約3500人が受験。小5は6年ぶりに2教科とも県平均を上回ったが、中2は3教科とも県内23市町でワースト3以内に低迷した。

 特に中2は2002年度の調査開始以来、県平均を超えたのは03年度の国語だけ。市議や教育委員からも学力の底上げを求める意見が相次いでおり、市教委は今秋、各校に授業の改善や補習の実施などを指導している。

 パンフレットは市教委のホームページにも掲載している。市教委指導課は「受験者が多い福山市が県全体の平均を下げているとの指摘もある。実践例を参考に、子どもの学力向上に役立ててほしい」としている。(門脇正樹)


クリック 基礎・基本定着状況調査 県教委が2002年度から毎年1回、県内の小学5年生と中学2年生(国立と私立は除く)を対象に実施している学力調査テスト。「読み・書き・計算」など基礎的な知識や思考力、表現力の定着状況を把握するのが目的で、県教委や各市町教委は教科ごとに課題を分析し、指導の改善を進めている。

(2009.12.17)


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