中国新聞


小規模高を「連携校」化
広島県教委 教員往来や合同行事


 広島県教委は、1学年3学級以下の小規模県立高校で、近隣2、3校による「連携校」の制度を始める。教員に授業を掛け持ちさせたり、部活動や学校行事を合同で運営したりする運用を想定。県教委は「教育内容の充実」を目的に挙げるが、PTAや地元関係者には「学校の統廃合につながるのでは」との警戒感が出ている。

 県教委によると、小規模校では、社会科担当に世界史の専門教員しかいない場合、この教員が日本史も教えていた。連携校は日本史や公民などの専門教員が行き来することで授業の質を上げることができる、としている。

 部活動では、部員不足でチームが結成できない競技で連携校が合同練習。試合規定で認められれば一つのチームとして出場する。

 県教委は、県内の小規模校26校で、13の連携校グループをつくる方針。連携は小規模校同士のほか、中、大規模校が相手校になる場合もある。2010年度予算案に教員や生徒が学校間を移動する経費など4450万円を計上。準備が整った学校間から始める。

 一方で、県立高再編整備基本計画(09〜13年度)は、1学年3学級以下の小規模校を統廃合の検討対象としている。県教委は連携校制度の導入に当たり、効果の検証方法や学校存続の条件を示していない。このため、地域やPTAの関係者には「将来の統廃合のステップになる」との懸念が消えていない。

 東広島市内の小規模校のPTA役員は「学校の存続を約束するのならいいが、校長から具体的な説明はない」と不信感を募らせる。県高教組の守本秀樹委員長は「教員が複数校を持てば、生徒が質問したい時に教員がいない状況になる。教育内容の改善になるか疑問で、統廃合への一時しのぎだ」と批判する。

 県教委学校経営課は「連携校の制度は、小規模校の教育活動を充実させるのが本旨」としつつ、「大きな入学者数の減少があれば統廃合をしないとはいえない」と説明。10年度も統廃合の検討を進める構えを崩していない。(永山啓一)

(2010.3.3)


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