中国新聞


退職教員が勉強サポート
広島市シルバー人材センター
つまずき解消 根気強く


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白島教室で児童に寄り添う井上さん(左から4人目)と阿部さん

 退職した元小学校教諭が、児童の勉強をみる、いわゆる「塾」が広島市内にある。市シルバー人材センターが1988年度から続ける「こども勉強室」。経験豊富なベテランが子どものつまずきを解消する、頼りになる場として根付いている。

 白島教室は中区西白島町のセンター、己斐教室は西区の己斐本町一丁目集会所で開く。いずれも週2回、午後4時20分から6時まで。80〜63歳の計5人が指導する。国語と算数の宿題や教科書のおさらいが中心だ。

 「もう一度、子どもに向き合いたい」。阿部道子さん(70)=安佐南区=は4月から指導陣に加わった。小数の計算方法を根気強く教えていた。現役時代にはなかなか行き届かなかったあいさつや礼儀、言葉遣いなどのしつけにも細かく目配りする。

 児童の表情は穏やかだ。広瀬小5年花本若奈さん(11)=中区=は「学校では恥ずかしくて聞けないことを気軽に質問できる」と、2年生の秋から通い続ける。安佐南区から通う川内小5年工藤大夢(たいむ)君(10)も、「ちょっと厳しいけど、授業がよく分かるようになった」

 月謝5800円で各教室とも定員10人が目安。口コミで評判が広がり、96年度に開いた己斐教室には本年度、定員を上回る14人の児童が通う。花本さんの母親の主婦緑さん(39)は「長年教壇に立っていた先生なので安心できる。子どものペースに合わせて、じっくり指導してもらえる」と頼りにしている。(松本大典)

(2010.4.26)

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