中国新聞


小学校存続へ定住促進
空き家調査・案内 4世帯受け入れ
安芸太田の上殿地区有志が協議会


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 広島県安芸太田町上殿地区の住民有志が、地元の上殿小を存続させようと、定住促進に取り組んでいる。家探しや生活相談にあたり、昨年11月以降の半年余りで県内外から子育て世代4家族の移住を実現した。中学生までの子どもは計12人。同小の全校、各学年の児童数は町の学校統廃合基準を上回るなど、一定の成果を収めている。

 同地区は中国自動車道戸河内インターチェンジ近くにある。町人口の1割に当たる約740人が暮らすが、少子化は急速に進む。昨年度の上殿小の児童は17人。2004年度の54人から3分の1に減った。

 「児童がいない学年がある」「児童15人以下」が町の学校統廃合の基準だ。対象校に上がる中、危機感を抱いた住民25人が昨年、上殿小存続対策協議会を発足。子育て世代誘致に活路を求めた。

 まずは全戸アンケートで、空き家の有無▽U・Iターンを希望する親族・知人の有無―などを尋ねた。28物件を確認し、所有者に空き家バンクへの登録を促した。町には定住希望者の紹介を頼んだ。会員が定住相談や地区の案内、引っ越しの手伝いも買って出る。

 その結果、4世帯が空き家を賃借、購入して移住。さらなる減少が懸念されていた上殿小児童は昨年度と同数を維持し、児童がいない学年もなくなった。教頭や常勤の養護教諭も配置された。協議会の矢立洋士会長(67)は「子どもの声が響くと地区も活気づく。動けば変化もある」と手応えを感じ取っている。

 神戸市から移った団体職員影井雄一さん(36)は7人家族。6カ月〜14歳の5人の子がいる。「自然の中で子育てしたかった。住民の熱意にも背中を押された」と話す。

 協議会は小学校存続を確かなものにしたいと、定住の受け皿となる空き家の動向調査を継続。町には、雇用の場創出やJR可部線の跡地に町営住宅を整備するよう求めていく。(胡子洋)

(2010.5.26)

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