中国新聞


学校耐震化率53.3% 広島46位
公立小中学校、都道府県調査 中国5県とも低迷
乏しい警戒感など背景


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 中国地方5県の公立小中学校の校舎や体育館の耐震化率が、いずれも全国平均73・3%を下回っていることが21日、文部科学省の調査(4月1日現在)で分かった。都道府県別の順位は、山口が53・0%で最下位、広島は53・3%で46位など5県とも低迷。震度6強で倒壊の恐れが高い建物は5県で計957棟に上り、対策の遅れが浮き彫りになった。

 耐震化を担当するのは公立小中学校の設置者で、大半が市町村。中国地方で耐震化が進まなかったのは、東海地方などに比べて地震への警戒感が乏しかったことに加え、中山間地域の市町村は財政基盤が弱く、少子化や合併に伴う学校統廃合問題を抱えることも背景にある、とみられる。

 耐震化率は、震度6強を想定した耐震基準を満たす建物の割合。広島の公立小中学校2570棟の耐震化率53・3%は、昨年より2・7ポイント上がり、山口は53・0%で4・9ポイント改善した。だが、全国平均は6・3ポイント向上しており、取り組みの遅さも目立った。

 このほか岡山62・2%(38位)、島根65・6%(33位)、鳥取65・7%(32位)。全国の最高は、国の補助に加え、独自に市町村への補助制度を設けている神奈川で96・1%に達し、静岡が94・3%と続いた。

 耐震基準を満たしていない施設のうち、倒壊の危険性が高いと診断・推計されたのは、広島337棟▽山口231棟▽岡山280棟▽島根85棟▽鳥取24棟―となっている。5県合計の957棟は昨年比で92棟増えた。診断が進んだ結果、耐震基準を満たさない建物が耐震化を上回るペースで新たに判明した。

 国は、倒壊の危険性が高い小中学校施設について2008年度から3年間、耐震改修の補助率を2分の1から3分の2に引き上げた。09年度は経済危機対策の臨時交付金を活用できるようにした。

 ただ、広島県教委は「市町は数百万円の負担でも厳しい。学校の統廃合計画を進めている市町も多く、耐震化の遅れにつながっている」と説明する。

 中国地方では、山口が06年度から市町への耐震化経費の無利子貸付制度を設けたが、利用はゼロ。山口県教委は「12年度末までに耐震化率80%以上を達成するため、各市町への働き掛けを強める」とする。

 文科省は、公立高校の耐震化率も発表した。5県は、広島56・3%(44位)▽山口59・2%(40位)▽岡山59・3%(39位)▽島根58・9%(41位)▽鳥取53・6%(45位)。いずれも全国平均の72・9%を大きく下回った。(永山啓一)

(2010.7.22)


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