中国新聞


小児膠原病治療 広島大に専門医
安村医師着任


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子どもの関節を診察中の安村医師。「日ごろから親が子どもの様子に注意を」と呼び掛けている(広島大病院)

 関節の痛みなどに悩まされる小児膠原(こうげん)病(小児リウマチ性疾患)。専門的な研修を受けた安村純子医師(35)がこの春、広島大病院(広島市南区)小児科に着任した。専門的に治療する医師が全国的に少ない中、力を発揮しそうだ。

 ▽新薬、副作用抑制も期待

 小児膠原病は16歳未満で発症する膠原病。患者は関節の激しい痛みや倦怠(けんたい)感、原因不明の長引く発熱などに悩まされる。症状が進み、軟骨や骨の一部が壊れると元に戻らず、手足が曲がらなくなる恐れがある。また、薬の副作用で身長の伸びが止まったり、顔が丸みを帯びて毛深くなったりすることもある。

 安村医師によると、小児膠原病の治療は大人の膠原病と同じように考えられがちで、整形外科や内科、小児科を受診する傾向にある。しかし、子どもは大人よりも重い症状が出るため、薬の量を増やして積極的に治療する必要があるという。

 日本小児リウマチ学会が主催する小児膠原病の専門的な研修を受けた医師は、安村医師を含め全国に7人しかいない。

 研修修了者は、複数ある小児膠原病の種類を見極めた上で、最新の治療薬である生物学的製剤を使った治療を行い、さらに薬の適切な使用期間を判断し、副作用も抑える―ことなどが期待されている。

 安村医師が専門医を目指したのは、徳島大在学中の臨床実習で小児膠原病の少女を担当し、「治したい」と思ったのがきっかけだ。小児科医になり、2008年から2年間、日本小児リウマチ学会主催の研修を鹿児島大病院で受けた。

 安村医師は、今年4月に広島大病院に着任し、毎週金曜日午後2時から4時まで、予約制で小児膠原病を診療している。「早期に適切な治療を始めることが何よりも大事。子どもさんの症状に気付いたらぜひ受診してほしい」と呼び掛けている。(治徳貴子)

(2010.8.4)


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