中国新聞


教師への暴力事件急増
昨年 広島県内小中高 逮捕・補導97人


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 広島県内の小中高校で、教師に対する暴力で逮捕、補導される生徒・児童が急増している。昨年1年間で97人に上り、前年の約2倍に増えた。「キレる子ども」の増加に加え、その問題行動に学校・教師側が警察への通報で対応するケースが目立っている。

 県警によると、逮捕は22人。前年から4人増え、全員が中学生だった。補導は75人に上り、内訳は小学生1人、中学生71人、高校生3人。中学生の事案が突出した。

 逮捕容疑は傷害と暴行で、たばこの持参や授業中の居眠りなど生活態度を注意されたことに腹を立て、教師に暴力を振るうケースがほとんどという。

 広島市では逮捕者が14人と、前年より9人増加。市教委は「感情をコントロールできず、いきなり暴力に訴える子どもが増えている」という。

 一方で、県警の捜査担当者は「規範意識が明らかに欠如している子どもに対し、『警察に任せよう』と考える教師と学校が増えている」と指摘する。県教委も2009年、公立校に生徒指導規定の整備を指示。教師が問題行動を注意しても改善しない場合、警察に通報するよう求めている。

 県教委指導3課は「学校内で対応するのが基本だが、現場での指導だけでは限界がある」と説明する。周囲の子どもへの影響も考慮した上での判断と強調する。

 早稲田大の本田恵子教授(学校心理学)は「コミュニケーション不足から信頼関係が損なわれているように感じる。学校と家庭が協力し、子どもの言い分をしっかり聞いた上で問題行動に対処してほしい」と話している。(山崎雄一、山本乃輔)

(2011.1.9)

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