中国新聞


子育て世帯、相次ぎ転入 坂町人口7.0%増
広島県内最大の伸び 国勢調査速報値
住宅や宅地整備が奏功


photo
<上>3月下旬から入居が始まる平成ケ浜住宅3号館(左)と1号館(中)。右奥は町役場
<下>3月下旬から入居が始まる平成ケ浜住宅3号館(左)と1号館(中)。右奥は町役場

 2010年国勢調査の速報値で、坂町の人口が5年前の前回調査に比べ7・0%増と県内市町で最大の増加率となった。要因は子育て世代の相次ぐ転入。平成ケ浜地区で公営の子育て支援住宅整備や宅地開発が進んだためだ。14歳以下の年少人口は05〜09年度、人口1万人以上の市区町村で全国9番目の伸びとなっている。

 速報値によると町人口は1万3267人。5年前より868人増えた。国勢調査では1970年の1万4223人をピークに減少が続いたが、05年に増加に転じていた。住民基本台帳に基づく年少人口は09年度末で1993人。05年度末に比べ15・7%増加した。

 広島市中心部から南東へ約20キロの平成ケ浜地区。JR坂駅北に町が県と建設を進める鉄筋10階建ての平成ケ浜住宅3号館は外観がほぼ完成し、3月下旬に入居できる。1、2号館はそれぞれ06、08年度に完成。3棟の総戸数は220戸となる。

 このうち100戸が2LDKと3LDKの子育て支援住宅だ。入居対象は就学前の子どもがいる世帯。町営の場合、家賃は収入などに応じて月4万7千〜7万9600円。

 玄関にベビーカーを置くスペースを設け、トイレは親子で入れる広さにした。ベランダ窓の鍵は40センチ高くし、子どもが誤って開閉しないよう工夫する。併設の保育園は入居者の子どもを優先して受け入れる。

 保育園と同じ建物には子育て支援センターが入る。安芸区から子育て支援住宅に入居した主婦前田瑞枝さん(34)は長男の恵吾ちゃん(1)と利用する。「保育士や他のお母さんに悩みを相談できる」と満足そうだ。

 平成ケ浜地区は県や町などが出資した第三セクターが埋め立てて造成。子育て支援住宅は、県営住宅整備を予定した県に、町がU・Iターン促進を目的に提案して実現した。

 同地区では1号館完成に前後してマンションや一戸建ての建設が相次いだ。大型商業施設や町役場がある利便性に加え、10年4月に広島高速2号全線と3号延伸部分が開通。町を走る広島呉道路を通じ広島市や山陽自動車道へのアクセスが向上した。町によると地区住民約1800人のうち約8割が町外からの転入者という。

 今後は、人口増効果を平成ケ浜以外の地区にどう波及させるかも問われる。町は「防災や道路整備にも力を入れ、さらに『住んでみたい』と思われる町を目指す」としている。(小山顕)

(2011.1.22)


子育てのページTOPへ