中国新聞


「18の春」先輩ら後押し
尾道の児童養護施設「三美園」後援会設立へ


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後援会の発足を退園生や元職員と喜ぶ真鍋施設長(左端)

 ▽免許・進学 費用を支援

 尾道市美ノ郷町の児童養護施設「子供の家三美園」の退園生や元職員たちは4月1日、高校を卒業し、施設からも巣立つ園生のための後援会を設立する。車の運転免許取得費や進学支度金を支援する。大半の園生が経済的な理由で就職や進学の選択肢が狭まる実情を解決する一助とする。

 園生は18歳になると退園する。公的支援はなくなり、自立を迫られる。進学を断念する園生も目立つ。同園は2004〜09年度に計19人を送り出し、うち進学した園生は2人だった。

 就職する際、採用の条件に運転免許が挙げられるケースも多い。県は09年度から児童養護施設の園生を対象に免許取得費を上限20万円補助しているが、実際の取得費は総額30万円を超える場合もある。取得費を捻出するため高校在学時から部活動をあきらめ、アルバイトをする園生もいるという。

 同園では現在、2歳から高校卒業を控えた18歳までの73人が暮らす。4月には3人が就職、1人が進学する。

 真鍋義文施設長(43)から相談を受けた元職員や退園生たち9人は今月中旬、市内の公民館で準備会を開き、後援会の事業概要などを話し合ってきた。後援会は、会費を個人(3千円)や団体(1口5千円)から募る。高校を卒業する園生に1人上限15万円で、免許取得費の一部や進学支度金を贈る。

 開設61年目の後援会設立について、真鍋施設長は「子どもの自立のために有効に使っていきたい」と感謝している。同園Tel0848(48)0045。(山成耕太)

(2011.3.24)


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