中国新聞


不登校経験者、支え合い10年
呉で月1回夕食会「大家族のよう」


   

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食卓を囲んで会話を楽しむ安藤さん(手前右)や松藤さん(同左)

 不登校を経験した若者たちが月に1度集まって食卓を囲む「フリースペース夕食会」が呉市内で10年余り続いている。「みんながいたから今がある」。大人になり一歩を踏み出した若者をつなぎ、支える場となっている。

 第4土曜日の夜。幸町の呉YWCAホールに笑い声が響く。約20人が手料理を盛った大皿を挟み向かい合う。仕事の話、子どもの話…。会話は尽きない。

 2歳と4歳の子どもを連れた中島英子さん(26)=東広島市黒瀬町=は「結婚、出産。節目で相談に乗ってもらった。大家族のようなみんなとの時間は大切」と話す。高校2年の時、友人関係が原因で学校に通えなくなった。

 2000年、不登校の子どもを持つ母親たちが「子どもたちが一緒に食事をしながら語らう場をつくろう」と始めた。かつての生徒たちは社会人になった後も、声を掛け合い集合。発足に携わった松藤比沙子さん(59)=呉市吉浦宮花町=たちのサポートを受け、料理作りにも加わる。

 呉市清水の安藤壮一郎さん(29)は中学1年のクラスの雰囲気になじめなかった。「ひきこもった時期もあったけど、外出して同じ世代の仲間と触れ合う場をつくってくれた」と感謝する。9月から市内でゲーム販売店経営を始めた。「接客ができるのもみんなとの交流があったから」と出席を欠かさない。

 苦しみや悩みを分かち合い、成長した若者たち。それぞれの道を歩みながらも「夕食会が心の支え。今後も続けたい」と今も同じ思いでつながっている。(小林可奈)

(2011.9.20)


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