中国新聞


外国籍児童の学習支援10年
呉のグループ、進学率向上など成果


   

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宿題をする児童を見守る伊藤さん(右端)たち

 呉市でブラジルやフィリピンなど外国籍の子どもの学習支援に取り組む「ワールド・キッズ・ネットワーク」が設立10年を迎えた。進学率向上など地道な活動の成果が表れている。

 毎週木曜日。白岳小(広駅前)の教室に元気な声が響く。同校には市内最多の約20人の外国籍の児童が通う。ネットワーク代表の伊藤美智代さん(58)たちスタッフ3人が宿題に向かう児童を見守る。同校での放課後教室スタートは2007年。ブラジル国籍で3年ヘケ・シンチアさん(9)は「ここに来るとホッとする」。

 伊藤さんたちは01年、外国籍の子どもの学習支援、居場所や悩みを聞く場を設けようと設立。夏休みや毎週土曜、市民センターなどでも勉強会や交流会を重ねている。白岳小を含め、約30人を支援しているという。

 当初は義務教育修了が難しい子も少なくなかった。だが今は大半が高校や大学に進む。今秋は、同小PTAが毎年実施する祭りで初めて、外国籍、日本人の保護者が共同でブースを出すなど新たな交流も生まれた。

 成果の一方、スタッフ不足に悩む。伊藤代表は「子どもの成長が喜びで続けてきた。地元の協力を得ながら続けたい」と意気込む。(小林可奈)

(2011.12.28)


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