中国新聞


育児に不安、怒る市民
尾道市の小児科サービス低下


   

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7月22日から休診となる尾道市立夜間救急診療所

 ▽「急で困る」「患者軽視だ」

 尾道市立夜間救急診療所の小児科休診と、市民病院小児科の診療日数減の方針が明らかになった27日、相次ぐ医療サービスの低下に市民から怒りや不安の声が相次いだ。

 「夜間救急には5歳の次男が何度かかかった。なくなっては困る」。主婦島谷記未子さん(42)=同市西久保町=は長女(14)の検査の付き添いで市民病院小児科を訪れ、表情を曇らせた。

 市内の主婦(32)は、次女の予防接種の予約のために訪れたが、日程調整ができず断念した。「7月から診療日時が変わると聞き、驚いた。急に言われても…」と困惑する。

 今回の決定を「患者軽視だ」と憤るのは市内で子育てサロンの代表を務める女性(59)。「育児中の親たちから意見を聞く姿勢が病院や行政に欠けている」と批判した。

 市によると、夜間救急診療所の小児科を受診した外来患者数は2012年度、計1592人で1日平均4・4人。今後はJA尾道総合病院の受診を促すという。同病院の弓削孟文(おさふみ)院長は「市民が安心して暮らせるよう全力を尽くす。医師の負担は増えるが患者は可能な限り受け入れる」という。

 尾道市医師会の宮野良隆会長も協力の構え。「早期の再開に向け、どういう対応ができるか探りたい」。市内の開業医師(54)も「医療は市民の不安をいかに取り除くかが大切。要請があれば協力する」と話す。

 一方、NPO法人公的病院を良くする会(大阪市中央区)の金井博基理事長は「推移を見守るだけで声を上げなかった市民にも責任がある」と指摘。「安心して暮らすために、行政、病院に小児医療継続を強く求める運動を展開するべきだ」と促している。(鈴木大介、木原由維)

(2013.6.28)


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