中国新聞


心のケアに精神科医が参加
虐待で養護施設入所の子対象
広島県が2014年度開始へ


 広島県は、虐待を受けて児童養護施設などに入所した子どもの心のケアに精神科医師が参加する新たな仕組みをつくる。来年度からの開始を目指し、今月から検討会が始まった。厚生労働省によると、児童養護施設と精神科医が日常的に連携して虐待を受けた子どものケアに当たる仕組みは珍しいという。

 県内にある児童養護施設と乳児院の計14施設には3月末現在、664人が暮らす。県と広島市が昨年度に入所させた165人のうち、6割の100人が保護者からの虐待を受けていた。

 虐待を受けた子どもには、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で突然泣きだしたり、暴れたりするケースがある。うつ症状が出る子どももいる。虐待で入所する子どもは増加傾向で、ケアの必要性が高まっている。

 このため県は、各地域の精神科医が各施設の嘱託医になる制度の創設を検討。精神科医が、カウンセリングを担当する心理療法士から子どもの様子を聞きながら、実際に診療したり、施設の職員にケアの方法をアドバイスしたりする。

 県は2日、県のこども家庭センター職員や小児心療などの専門家たち7人でつくる検討委を設置。子どものケアの必要性などについて協議を始めた。今後、精神科医との連携方法や、診療が必要な子どもを見極める基準など、具体的な制度を考え、本年度中にまとめる。

 県内では昨年10月、府中町の小学5年女児が母親の暴行を受けて死亡する事件が発生。県の検証委員会は施設入所中の子どもへの支援強化を求めていた。県こども家庭課は「心理療法士だけでの対応には限界がある。医師の力を借りて心のケアを充実したい」と説明する。(衣川圭)

(2013.7.4)


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