中国新聞


子ども見守り連携強化 下校時被害、全国で相次ぐ
警察や住民団体、防止策など確認


   

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下校中の大芝小児童(手前)に声を掛ける子ども見守り推進隊のメンバー=広島市西区

 全国で下校中の子どもを襲う事件が相次ぐ中、広島県内の子どもの見守り団体や学校にも、緊張が広がっている。安佐南署は8日、小中高の担当者や県教委と緊急会議を開き、通学路の見守りなどの対策強化を呼び掛けた。

 この日、安佐南署は署内で緊急会議を開いた。小中高の校長たち43人が出席。生活安全課の前田智治課長が、下校時間の午後3、4時台に痴漢などの被害が多発していることを説明した。各校は、緊急時に駆け込める「こども110番の家」を把握しきれていない点や、防犯ブザーの携帯が徹底できていない点を課題として挙げた。

 「お帰り」「今日は学校で何したん」。広島西区の大芝小学区で活動する子ども見守り推進隊は、この日も下校する児童に声を掛けた。東京都練馬区で6月28日に下校中の児童3人が刃物で切られた事件以降、より児童や周囲に気を配りながら通学路に立つ。

 学区内の大宮1丁目地区をまとめる松島忠温さん(72)は事件後、児童に「何かあったら大声を出して」と声を掛ける。他のメンバーとは、不審者には旗を振り回して対抗しようと確認し合った。ただ、メンバーにはお年寄りが多く、「若い人にも活動への参加を根気よく呼び掛けていく」と話す。

 7月5日にも宮城県富谷町で、下校中の児童が男に顔を手で覆われた。夏休みも近づき、幅広い安全対策が求められるが、広島県連合小学校長会長を務める牛田小(東区)の西本正頼校長(59)は「地域によって効果的な防犯は異なり、一律のマニュアルは作れない。各校が地元と情報を密に共有するしかない」と話す。

 広島市教委は1日、市立小中高や幼稚園などに向け、警察に不審者の情報を迅速に届けるよう指示する電子メールを送信。県教委も各市町などに同様の通知を出し、10日には県警などと共同で対策会議も開く。

 県警の岡崎玲史・減らそう犯罪情報官は「通学路を親子で歩き、不審者が隠れそうな裏道や暗がりを把握してほしい」と強調。保護者以外の住民も見守りに関わってもらえるよう期待する。

(2013.7.9)


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