中国新聞


首長・教育長の7人反対
全国学力テスト学校別成績公表
井笠5市町本紙調べ「学校の序列化」懸念


   

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 文部科学省が全国学力テストの学校別成績を2014年度から市町村教委の判断で公表できる方向で検討を始めたことについて、井笠地域5市町の首長と教育長計10人のうち7人が反対していることが8日までに、中国新聞の調べで分かった。県や県教委は積極的な公表を求める一方、学校現場に近い市町には慎重な意見が多いことが浮き彫りになっている。(谷本和久、小川満久、永山啓一)

 市町村教委による学校別成績の公表に首長、教育長とも反対したのは笠岡市、井原市、矢掛町。里庄町は教育長が反対、町長は賛成と判断が分かれた。浅口市はともに賛成だった。

 反対理由について井原市教委の片山正樹教育長は「学校の序列化につながる」と指摘。笠岡市の浅野文生教育長は「小規模校が多く個人の成績への臆測を生む」とした。

 賛成理由について浅口市の城山藤一教育長は「学力の現状を住民に公表する責任がある」とした。里庄町の大内恒章町長は「成績を上げる参考になる」とした一方で「町教委の判断を尊重したい」とも答え、公表に反対の立場の杉本秀樹教育長への配慮をみせた。

 本年度の全国学力テストで県の平均正答率の都道府県順位は小学6年が38位、中学3年が32位だった。伊原木隆太知事は「学校の序列化や受験競争再燃の懸念はあるが、公表は学力向上につながるメリットが大きい」と、県教委による市町村別成績の公表に意欲をみせる。

 知事の考えについて矢掛町の嶋山英二教育長は「成績の低い自治体を国や県が支援するのが筋なのに逆に序列化を進めているように感じる」と反発。笠岡市の三島紀元市長は「競争原理の趣旨は理解するが、学力至上主義にならない配慮がいる。楽しく元気に学校生活が送れる環境整備が必要」と強調した。

(2013.11.9)


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