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ジュニアライター発信

未来へ、つながろう 広島で30日「中高生ピースマイルフェスタ」

 30日、広島市中区の中国新聞ビルで開かれる「中高生ピースマイルフェスタ」。設立5周年を迎えた中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターを拠点に活動するジュニアライターが、同じような活動に取り組む若者とのつながりを深めよう、と初めて企画した。「ピース(平和)」と「スマイル(笑顔)」があふれる未来を、との思いを込めたイベントだ。音楽ステージやワークショップ、出展ブースを通じ、いじめなど身近な問題から東日本大震災の被災地復興、世界平和のテーマまで、中高生の目線で肩肘張らずに交流、発信していく。

◆ワークショップ◆

復興・国際協力・いじめ…考える

 ワークショップは七つのテーマで開催。それぞれ、ジュニアライターが司会を務める。

 「フクシマの今」は、福島県立葵高(会津若松市)の生徒たちと、東日本大震災や原発事故からの復興などについて話し合う。

 被爆証言の継承を目指す「記憶を受け継ぐ」は、原爆で家族を失いながら戦後を生き抜いてきた被爆者、川本省三さん(78)=広島市西区=の証言を聴き生きる意味を考える。

 国際協力がテーマの「世界とつながる」は、NPO法人ANT―Hiroshima(アント、中区)代表の渡部朋子さん(59)がゲスト講師。インターネットのテレビ電話を海外と結び、中高生ができる国際協力について意見交換する。

 「お好み焼きと復興」は、オタフクソース(西区)のお好み焼き課長、新見改歴(かいれき)さん(47)とクイズをしながら、原爆による焼け野原からの復興の象徴にもなったお好み焼きの歴史を振り返る。

 「平和の絵本をつくろう」は、日本児童文学者協会広島支部代表の三浦精子さん(76)と、ヒロシマとフクシマに関わる物語づくりに挑戦する。

 いじめをテーマにした「いじめって?」は広島市こども療育センター愛育園園長で、いじめの被害者・加害者である子どもたちの心をケアしている精神科医師西田篤さん(53)を迎え、解決策を考える。

 「私たちの2045年」は、NPO法人ひろしまジン大学(中区)の平尾順平学長(36)と、被爆100年の2045年の広島や福島をイメージする。

 ワークショップ終了後、参加者がホールに集まり、フィナーレでまとめをする。

 ワークショップ参加希望者は、名前、学年(成人は年齢)、性別、第1、第2希望のテーマを書き、kidspj@chugoku―np.co.jpにメールで申し込む。締め切りは22日。

◆音楽ステージ◆

福島・広島3校合唱と吹奏楽

 音楽ステージには、福島、広島両県から3校が出演。合唱、吹奏楽を披露する。

 福島県からフェスタのために招く葵高(会津若松市)合唱部は本年度、全国学校音楽コンクールで優秀賞に輝いた。NHKの番組出演などでも知られる。安田女子中合唱部・高音楽部(広島市中区)は、中学が全日本合唱コンクール全国大会で銅賞、高校は国民文化祭・とくしま2012に出場。両校とも被爆ピアノを使い希望のハーモニーを響かせる。

 鈴峯女子中・高吹奏楽部(広島市西区)は約45人が登壇。原爆をテーマにしたオリジナル曲「広島の朝の歌」などを演奏する。

 最後は、会場の参加者全員でSMAPのヒット曲「世界に一つだけの花」を歌う。被爆ピアノの伴奏による合唱で、原発事故で被災したフクシマと被爆地広島が結ばれる。

◆ブース◆

取材団体の活動紹介

 中高生の平和活動グループや、ジュニアライターが取材した団体など約20のブースが出展。パネル展示などを通した活動紹介や、国内外のフェアトレード商品の販売をする。

 基町高(広島市中区)は創造表現コースの生徒が、被爆者から聞き取った証言を基に描いた油絵「原爆の絵」を展示。修道中(同)2年生は、同中の被爆状況などについて学んで作った平和学習新聞を張り出す。

 国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所(同)は、青少年大使の活動を紹介。ジュニアライターも、昨年夏に訪れた岩手県の東日本大震災被災地について報告する。

 パレスチナ女性の自立を支援するサラーム(西区)は、現地の女性が刺しゅうを施したポーチやバッグを販売。優輝福祉会(庄原市)は、ジュニアライターとラベルのデザインを一緒に考えた、ペットボトル入りのミネラルウオーターを試験的に売る。

みんなで笑顔咲かせたい

実行委員長 坂田弥優(高2)
 私たちジュニアライターはこれまで、平和を考え、活動している多くの人々を取材してきました。今回、中高生を中心に平和な未来を考え、笑顔になれるようなフェスタを開催します。以前から中高生で横のつながりをつくりたいという希望があったからです。

 今まで取材した人たちのブースやワークショップを設けます。楽しみながら平和を学べるように、みんなで企画しました。盛りだくさんですが、一つ一つに私たちの思いが詰まっています。

 今回は、東日本大震災の被災地である福島県からも高校生が参加し、音楽ステージで合唱を披露してくれます。多くの人とつながることができるのを楽しみにしています。みんなで笑顔の花を咲かせましょう。

(2013年3月4日朝刊掲載)  

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