×

ニュース

初の高校生ガイド 被爆地「同世代に」 広島女学院高1年下宮さん 12日デビュー 自作資料手に練習重ねる

 広島市観光ボランティアガイド協会に、2000年の設立以来初の高校生ガイドが誕生した。広島女学院高1年の下宮葉月さん(15)=南区。12日のデビューを控え「同世代の人にも被爆地の歴史を知ってもらいたい」と練習を重ねている。(石井千枝里)

 中区の平和記念公園。手製の資料をとじた分厚いファイルを手に、真剣な表情で碑を見つめる。「発する言葉に自分の思いを重ねて」。協会の柴田武志会長(76)の話に耳を傾ける。

 小学生の頃から歴史好きだった。特に「広島に触れずにはいられない」第2次世界大戦に興味を持った。毎年夏が近づくと、学校で配られた資料を読み込んだ。

 ガイドへの挑戦を決めたのは昨夏。戦争に行った曽祖父の遺品を祖父の家で見たのがきっかけだった。遺品の中にあった未使用の黄ばんだ便箋の束を手にし「自分の中で何かが動いた」。

 養成講座で初めて先輩ガイドから説明を受けながら公園を巡った。「動員学徒慰霊塔」には自分の学校の名前も。「決してひとごとではないと思った」。他にも公園内だけで約10カ所を巡り、縮景園や広島城のコースもある。覚えなければならない知識は膨大だ。放課後は急いで学校の課題を終わらせ、資料作りに没頭した。実践練習は最も良いA評価だった。

 昨年のガイド件数は21年の約3倍の2403件。先進7カ国首脳会議(G7サミット)で注目され、新型コロナウイルス禍も和らいで申し込みが急増した。ガイド不足で断る日も多かった。今年は45人が新たに加入し、会員数は164人に増えた。柴田会長は「ウクライナ侵攻など、身近に戦争のニュースが流れてくる時代。新メンバーと一緒に土地や碑に込められた平和への思いを訴えたい」と意気込む。

 下宮さんは12、26の2日間、富山、神奈川両県からの修学旅行生を案内する。「旅行の記憶に残るようなガイドを目指す」。デビューまであと少し。中学生の弟を練習相手に繰り返し語りかける。

(2024年5月8日朝刊掲載)

年別アーカイブ