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復興の広島 見つめた128枚 中区の明田さん 写真集を刊行

■記者 川上裕

 広島市中区の写真店経営、明田弘司(あけだ・こうし)さん(86)が写真集「百二十八枚の広島」(南々社)を刊行した。戦後の被爆地で撮影したモノクロ写真128枚で、廃虚から復興する街の様子を伝えている。

 B5判、128ページ。被爆3年後の1948年から1960年代前半までに撮影した写真を地区別に収めた。

 未舗装で緑地帯もない平和大通り(1953年)、建設中の県庁(1955年ごろ)、花見客でにぎわう比治山(1956年、航空写真)、平和大橋の欄干に上った水着姿の男の子(1960年)などが並ぶ。

 呉市出身。戦時中は陸軍に所属し、中国東北部で航空写真の現像などを担当した。1948年、爆心地から約1800メートルの中区東千田町に写真店を開いた。

 父と叔母、大勢の知人が被爆した。「気の毒で、被爆者にレンズを向けられなかった」と明田さん。復興する街を記録するため、カメラを肩に掛け自転車で駆け回った。

 明田さんは「街の姿が目まぐるしく変化した時期。市民が明るく、活気あふれた当時を感じてほしい」と話している。1部1890円。県内の書店などに置いている。南々社Tel082(261)8243。

(2009年9月3日朝刊掲載)

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