バーバラ・レイノルズ氏記念碑

被爆者に寄り添う信念

被爆地広島に6月、新たな碑が誕生した。つるりと光る黒御影石には、米国人平和活動家バーバラ・レイノルズさん(1990年死去)の穏やかな顔が浮かぶ。力強い毛筆の碑文は、彼女のたどり着いた境地。

「私もまた被爆者です」

51年、原爆傷害調査委員会(現放射線影響研究所)に赴任した夫と広島へ移り住んだ。母国が投下した原爆の惨禍を知り、反核・平和の道を歩む。62、64年に被爆者と核保有国などを巡り、65年、「ヒロシマの世界への窓口」となるワールド・フレンドシップ・センターを創設した。

センターの森下弘理事長(80)が平和記念公園(広島市中区)そばへの碑建立に尽力し、碑文を揮毫(きごう)した。「穏やかな声が印象的で、強い意志を持つ運動家だった」と振り返る。
寄り添い、行動する。「東日本大震災や原発事故が起きた今こそ、彼女の精神を継承してほしい」と森下さん。半生をヒロシマにささげた足跡は、原点の地で語り継がれる。

(2011年7月28日夕刊掲載)