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米真珠湾で初の原爆展 核廃絶へ広島市など主催

 太平洋戦争の戦端を開いた旧日本軍による攻撃があった米国ハワイ州の真珠湾にある戦艦ミズーリ記念館(ホノルル市)で、「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」が開かれている。広島、長崎両市と、同館を運営している戦艦ミズーリ保存協会の主催。平和構築と核兵器廃絶に向けた世論を高めようと企画した。

 米軍が広島に投下した原爆で火傷を負って2日後に亡くなった女学生のブラウス、中身が黒焦げになった弁当箱の複製などの資料20点を展示。被爆後の街の惨状を写した写真などを載せたパネルも並べている。

 ミズーリは、日本が太平洋戦争の降伏文書に調印した戦艦。米国では真珠湾攻撃を引き合いに原爆投下を正当化する見方もあるが、原爆資料館(広島市中区)の職員が2017年に現地を訪れて開催を持ちかけ、記念館側も平和について考えてもらう場にしたいと希望したという。

 広島、長崎両市は1995年度に海外での原爆展を始め、ハワイでの開催は初めてとなる。両市は真珠湾攻撃で沈んだ戦艦アリゾナの上にあるアリゾナ記念館での開催も目指していたが、今夏は調整がつかなかった。今後も協議を続けるという。

 ミズーリ記念館での開催は、当初は7月開始を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で延期され、現地時間の今月13日に始まった。原爆資料館の滝川卓男館長は、同日の開会行事に「核兵器廃絶と世界恒久平和に向けて共に力を尽くしてもらえるよう心から願っている」とのメッセージを送った。11月末まで。開期終了後、ハワイ大ヒロ校での開催も調整している。(水川恭輔)

(2020年8月19日朝刊掲載)

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