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原爆ドーム周辺 高さ規制答申へ 市景観審 範囲素案通り

 平和記念公園(広島市中区)の原爆ドームを南側から見た景観の保全に関し、市景観審議会は24日、市役所で会合を開き、建物の高さを法的に規制する範囲を定めた答申を決めた。原爆資料館本館下から見て左右17度、奥行き最大5・2キロの範囲を規制対象とするなどの内容。近く松井一実市長に答申する。

 資料館付近からドームを望む景観を「被爆地を象徴する眺望」と位置付け、ドームの背景に建物が見えない状態に誘導する狙い。左右17度のうち、ドームの背景となる中心の3・1度の範囲を最も厳しく規制する。それ以外の範囲は、公園内の樹木で隠れる効果も踏まえて緩やかな規制とする。

 この日の会合には、会長の杉本俊多・広島大名誉教授(建築)たち委員13人が出席。6~7月に市に寄せられた、素案に関する市民意見33件について報告を受けた。21件は素案を支持する内容で、「市中心部に高層建築が建つのは避けられず、発展との均衡が必要だ」などの意見もあった。

 審議会は、3月にまとめた素案をもとに、対象地域の町内会や学校などにヒアリングしており、市民から寄せられた意見も踏まえて素案通りの答申を決めた。

 答申後、市は都市計画法や景観法に基づく規制の具体的な制度設計に入る。委員からは「具体化の段階で出てくる意見にも丁寧に対応してほしい」として、改めて市民に丁寧な説明をするよう求める意見も出た。

 審議会後、杉本会長は「よく練り上げられ、市民の理解も得られる内容になった」と話した。(明知隼二)

(2020年8月25日朝刊掲載)

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