×

ニュース

「黒い雨」控訴取り下げを 広島県安芸太田町議会 国・県に意見書

 原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を巡る訴訟で、原告が多く暮らす広島県安芸太田町議会は、17日の本会議で、国と県に控訴の取り下げを求める意見書案を全会一致で可決した。

 意見書の提案議員によると、原告の町民は27人。意見書は、国の控訴判断が「長年にわたる原告やそのご家族、支援者の苦労を踏みにじる行為」だと指摘。原告の高齢化も踏まえ、国、県に控訴の断念を求め、被爆者と認定して、被爆者健康手帳を交付するよう求めた。

 また「寄り添う気持ちがあるのであれば、せめて原告に訴訟理由や今後の方針を丁寧に説明すべき」としている。

 7月29日の広島地裁判決では、区域外で黒い雨に遭って健康被害を訴える広島市や同町の原告84人全員を被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付するよう被告の市と県に命じた。市と県、訴訟に参加する厚労省は8月12日、広島高裁に控訴している。

 意見書は、田村憲久厚生労働相と湯崎英彦県知事宛てに郵送する。(山田太一)

(2020年9月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ