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国側 安全保障面を強調 議員側 不安や対策訴え F35B追加 岩国市議会全協

 米軍岩国基地(岩国市)への最新鋭ステルス戦闘機F35Bの追加配備計画を巡り、岩国市議会は24日、全員協議会を開き、防衛省の担当者から計画の内容を聞き取った。国側が安全保障上の意義を強調する一方、議員からは生活環境が悪化する不安や負担に応じた地域振興策を求める声が相次いだ。(永山啓一)

 中国四国防衛局の森田治男局長が冒頭、老朽化した既存の戦闘攻撃機FA18ホーネット12機に代わり、F35B16機を配備する米海兵隊の計画を説明。「日米同盟の抑止力を強化し、日本およびアジア太平洋地域の安定に寄与するものだ」と理解を求めた。

 議員からは騒音のほか、部品落下を含む航空機事故への懸念の声が上がった。市が掲げる「基地との共存」に理解を示す最大会派憲政会の議員が「多くの住民は情報開示が不十分で不安を感じている」と国に苦言を呈する場面もあった。

 森田局長は「地元理解が重要。影響を最小限にするよう米側に求め、騒音対策の各種施策や戦闘機の訓練移転などの負担軽減施策を講じていく」とした。

 国が示した追加配備後の騒音予測にも多くの疑問の声が上がった。予測図は航空機が4機増になるのに、岩国市街地の騒音にはほぼ変化がなく、増えるのは海上と同市柱島や周防大島町の一部だけとなっている。

 森田局長は所属機の1日の標準飛行回数が現状の計447回から計460回に増える想定だとし「予測図の飛行経路はあくまで標準的なものだが、経路のばらつきも考慮した」などと精度に自信を見せた。「飛行実態を調べ、予測図を作り直すべきだ」との意見には否定的な考えを示した。

 追加配備後の訓練場所は「既存のF35BやFA18と同様の飛行をすると説明を受けたが、運用の詳細は承知していない」との回答にとどまった。

 住宅防音工事の助成対象を事務所や店舗に広げるよう求める意見や期限が来年度に迫る米軍再編交付金の延長の要望も目立った。防衛省地方調整課の宮川均課長は「強い要望は十分受け止めている」と述べたが、予算化の明言はしなかった。

<F35B追加配備計画を巡る主なやりとり>

質問・要望
F35Bが4機増える。騒音や事故への不安解消にどう対応するのか

回答
影響を最小限にするよう米側に要請し、戦闘機の訓練移転など負担軽減策を講じていく

質問・要望
騒音予測図は海上しか飛ばないルート。現実的な飛行経路で作成する考えはないか

回答
飛行経路は滑走路沖合移設時の環境影響評価を基に作成。経路のばらつきも考慮し一定の精度がある

質問・要望
F35Bの機数が今後増える可能性はあるのか

回答
老朽化していくFA18などから新しいF35Bに更新する流れはある。機数を言える段階にはない

質問・要望
F35Bはどのような役割を果たすのか

回答
すぐれた機動性と即応性がある。高度で広範囲な任務を果たし、アジア太平洋地域の安全に寄与する

質問・要望
F35Bはどこで訓練をするのか

回答
すでに配備されているF35Bなどと同様の飛行をすると聞いている。具体的な運用は承知していない

質問・要望
再編交付金の継続を求める

回答
強い要望をいただいている。具体的な要望をうかがいながらしっかり対応していく

質問・要望
住宅防音工事の事務所・店舗への対象拡大は実現できるのか

回答
いかなる建物を対象とし、いかなる工事をするか、地元の意見を聞きながら検討していく

(2020年9月25日朝刊掲載)

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