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米紙の原爆報道を解説 広島日米協会の交流会

 広島市立大(安佐南区)国際学部の井上泰浩教授が「アメリカの新聞の広島原爆報道 その日から75周年まで」と題し、市内で開かれた広島日米協会の交流会で講演した。原爆投下直後の米紙が「原爆を正当化し、フェイクニュースを連発していた」と強調した。

 主にニューヨーク・タイムズ紙の戦後報道を振り返った。1945年8月7日付の「世界初の原爆を日本に投下」と題した1面記事を見せながら、「放射線という言葉を全く使わず、誰も知らないはずの原爆の詳細を報じた」と紹介した。

 また、同紙のウィリアム・ローレンス記者が当時のトルーマン大統領の声明原案や報道資料も執筆していたことに触れ「広島を軍事基地と呼び、『原爆が多くの日本人の命も救った』などと政府発表をそのまま伝えていた」と説明した。

 一方、今年8月7日付に被爆直後の広島、長崎両市内の惨状を捉えた写真を載せたことを「変化の兆し」として挙げた。井上教授は約10年前から米国の原爆報道を調査。今年は公益財団法人ヒロシマ平和創造基金の助成を受け、被爆75年の欧州やアジアの新聞報道の分析も進めている。(桑島美帆)

(2020年11月16日朝刊掲載)

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