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核禁条約 政府参加要請 広島・長崎市長 積極関与の意義訴え

 広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は20日、核兵器禁止条約の来年1月22日発効確定を受け、外務省や与野党幹部らを訪ね、日本政府の同条約への署名と批准を要請した。当面は発効後1年以内に開催される締約国会議にオブザーバー参加し、核保有国と非保有国の「橋渡し役」として核軍縮にリーダーシップを発揮するよう求めた。

 両市長は外務省で鷲尾英一郎副大臣に要請文を手渡した。松井市長は「発効後の課題は実効性のある条約にすること」と日本が条約に積極的に関与する意義を強調。田上市長は締約国会議の被爆地開催を求め、「被爆者にとって条約は希望の光。政府は唯一の戦争被爆国として話し合いに加わってほしい」と呼び掛けた。

 米大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏の被爆地訪問を後押しすることも求めた。

 日本政府は「核の傘」を提供する米国への配慮から条約に参加していない。菅義偉首相は臨時国会の答弁で、広島や長崎での締約国会議開催を「不適切」とする見解も示した。鷲尾副大臣は「要請をしっかり受け止める」としたが、具体策の言及はなく、条約参加に慎重な姿勢を崩さなかった。

 両市長は自民党の「被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟」の寺田稔代表世話人(広島5区)や公明党の山口那津男代表、立憲民主党の「核兵器のない世界を目指す議員連盟」の岡田克也会長、森本真治事務局長代理(参院広島)たちと面会。条約参加に向けた国会での活発な議論を求めた。

 核兵器の開発から使用まで全面禁止する同条約は2017年7月に国連で採択された。批准数は今年10月24日、発効に必要な50カ国・地域に達した。(桑原正敏)

(2020年11月21日朝刊掲載)

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