×

ニュース

被爆3世「あの日」伝える姿 広島経済大生の作品 映像祭で優秀賞

 被爆3世をテーマに広島経済大(広島市安佐南区)メディアビジネス学科の学生3人が制作した映像作品が、優れたドキュメンタリーを表彰する第40回「地方の時代」映像祭2020の「市民・学生・自治体部門」優秀賞を受賞した。元民放記者の徳永博充教授(71)のゼミ生たちだ。

 20分作品の「継(つな)ぐ 被爆三世たちのヒロシマ」。昨年夏に市民2人を取材し、証言会の開催や平和ガイドの活動を通じて祖父や祖母ら被爆者の「あの日」と戦後の苦労を伝えようとする姿を追った。映像からは、学生たちが取材相手の本音を引き出す苦労もにじむ。

 計43の応募作から選ばれ、14日に大阪府内で表彰式があった。ディレクターの4年大野仁美さん(22)は、昨年秋に作品をほぼ完成させたが、新型コロナウイルスの感染拡大のあおりで追加取材や再編集ができず、悔いが残ったという。「受賞が決まり驚いた。戦争体験のない若い世代に関心を持ってほしい」と願う。

 徳永教授は広島テレビ放送を退職後の2010年、同大に転身。中国残留孤児や広島土砂災害、限界集落の問題などに学生とともに向き合い、毎年この映像祭に出品してきた。ゼミ生の優秀賞受賞は今回で2度目。来年秋に退職を控えており、自身が担当する最後の教え子たちとなる。

 「人と会って話を聞き、その人の思いに迫る。事実を積み重ね、映像として謙虚な姿勢で表現する。社会人になっても大切にしてほしい」。現役時代からの心掛けを、若い世代につないでいる。(山本祐司)

(2020年11月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ