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被爆古民家をギャラリーに 洋裁教室や絵画展

 牛田本町3丁目の神田橋通りに面した一軒家。「古民家ギャラリーうした」と書かれたのれんをくぐると、どこか懐かしさの漂う空間が広がる。地域の主婦たちが和室に集まり、着物の古着をリフォームする洋裁教室を楽しんでいた。

 ジャケットにチュニック、ワンピース…。着物から生まれ変わった多彩な洋服が並ぶ。「これ、私が作ったんよ」「モデルがいいけんね、すてきよ」。愉快な会話と笑い声が響く。

 民家の一部を活用したギャラリーは、ここで暮らす鶴岡たかさん(75)が運営している。築80年。75年前の原爆投下時、牛田地区も大きな被害を受けた。この民家の欄間の一部は爆風で吹き飛んだが、建物は焼失を免れた。同居の母が103歳で亡くなった8年前から地域に開放し、洋裁教室や絵画展などを開いている。

 「昔のにおいや失われつつある空間を感じてほしくてね」と鶴岡さん。被爆の爪痕を残す古民家に、穏やかで優しい時間が流れる。戦時下と今の「日常」がつながった気がした。(佐伯春花)

(2020年11月24日朝刊掲載)

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