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首相に原爆の絵本 核禁止条約 批准促す 広島の市民グループ送付

 核兵器廃絶を求め、各国に原爆の絵本を送る活動をしている広島市の市民グループ「ひろしまと世界を結ぶこども文庫」は25日、菅義偉首相に「絵で読む 広島の原爆」(福音館書店)を送った。核兵器禁止条約の発効が来年1月に迫る今、日本政府が条約に参加するよう願いを込めた。

 宛名は菅首相と妻真理子さんの連名で、代表の柴田幸子さん(88)=安佐南区=とメンバーの宮郷昌子さん(79)=中区=が横浜市の事務所へ郵送する作業をした。被爆者の那須正幹さんと西村繁男さんが1995年に著した絵本は、平穏な市民生活を一瞬で破壊した原爆のすさまじさを緻密なタッチの絵で伝える。

 宮郷さんが千代紙で折った鶴2羽と、柴田さんがしたためた便箋2枚を同封した。直筆で「大人は次世代に明るい幸せな未来を譲り渡す責任がある」「被爆国の首相、また世界のリーダーとして核廃絶を国家と人類の幸せのために決断」するよう呼び掛けている。

 柴田さんは「被爆国が条約に批准しないのは許せない。政府を動かす首相自身に核兵器の悲惨さに向き合ってもらい、考えを改めてほしい」と期待する。

 グループは「言葉が通じなくても原爆を知ってもらえる」と96年から海外に絵本を送る活動を始め、これまで168カ国に3008冊を贈った。(山本祐司)

(2020年11月26日朝刊掲載)

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