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原水禁の高校生作文コン 盈進・酒見さん 最優秀賞 「黒い雨」訴訟 思いつづる

 原水禁国民会議(原水禁)が被爆75年に合わせて初めて企画した高校生の作文コンクールで、盈進高(福山市千田町)の2年酒見知花さん(17)が最優秀賞に輝いた。原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を巡る訴訟について自身の思いをつづった。

 タイトルは「本気なのか 『黒い雨』控訴に思う」。黒い雨に国の援護対象区域外で遭い、健康被害が生じたとする原告の訴えを広島地裁が認めた問題を取り上げた。作文では、年老いた原告が次々亡くなっている現実に触れ「なぜいま救済しないのか」と追及。広島市の平和宣言の矛盾を突き、市は「本気で救う気があるとは到底思えない」と率直な気持ちを表した。

 酒見さんは同校ヒューマンライツ部の部長で、被爆者の証言などを記録する活動をしてきた。ただ、広島地裁の判決まで黒い雨訴訟を知らなかった。「これまで無関心だった自分も被爆者を傷つけた一人かもしれない」と感じたという。夏休み中に部員で意見を交わし、作文にまとめた。

 受賞作は、原水禁のホームページで公開中。酒見さんは「行政にも自分にも、核兵器廃絶への思いが本気なのか問い続けたい」と強調した。(川村正治)

(2020年12月15日朝刊掲載)

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