×

ニュース

艦載機移転へ902億円 過去最多 岩国が「受け皿」に 14年度予算案決定

 政府は24日に閣議決定した2014年度予算案で、米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転の予算として、過去最多の902億7900万円(契約ベース)を盛り込んだ。17年ごろまでの移転完了で合意している日米両政府。一方、山口県と岩国市は現時点では容認していないが、日本政府が注力する沖縄の米軍基地負担軽減と連動する格好で、岩国基地での「受け皿」づくりが着実に進む。

 契約ベースの金額は14年度に新たに発注する工事や設計業務の総額で、事業規模を示す。14年度は、13年度の653億7600万円から38・1%増。独身者用の下士官宿舎約800戸を3年間で、家族向け住宅約200戸を2年間で、それぞれ基地内に建設。米兵が携行する武器の整備や手入れをする事務所も設ける。

 山口県と岩国市は16日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機15機を14年6~9月に岩国基地へ先行移転させる政府方針を容認。予算案には空中給油機の格納庫や洗機場の建設、基地内での学校や立体駐車場の整備なども盛り込まれた。

 KC130の先行移転容認をめぐり、県と市は政府に基地周辺の安心・安全対策や地域振興策を要望した。今回も、防衛省が特例措置として取り組む基地周辺での防音工事に3億7800万円が計上された。この他、市道や市のごみ処理施設などの整備事業にも「地元の要望を聞き、最大限支援する」(防衛省)構えだ。

 背景には、「沖縄の負担軽減」を強調したい政府の狙いに、いち早く協力してきた県や市への配慮がある。一方で地元には、岩国基地の機能強化がなし崩し的に進む危険性を指摘する声も根強い。施設整備が進んで「外堀」が埋められる中、県と市は空母艦載機の受け入れ判断を迫られる。(村田拓也)

(2013年12月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ