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有福温泉荘が閉鎖 江津で被爆者癒やし46年

 島根県江津市の被爆者向け宿泊施設、原爆被爆者有福温泉療養研究所「有福温泉荘」が26日、利用者減少や施設老朽化のため46年間の営業を終え、閉鎖した。

 施設を設置した広島原爆障害対策協議会(原対協、広島市中区)が来年3月末までに建物を取り壊し、敷地約3200平方メートルを江津市に返還する。跡地には広島市の社会福祉法人理事長が、新たな被爆者向け宿泊施設と要介護者向け施設の建設を検討し、2月末までに結論を市に伝える方針を示している。

 有福温泉荘は1967年6月に開所。客室20室や大浴場を備え、46年間で83万7千人が利用した。利用者は93年度の2万2800人をピークに、高齢化などで昨年度は7750人まで減少。経営悪化や建物の老朽化を理由に原対協が昨年11月、閉鎖を決定した。

 2011年5月には大分県別府市の原子爆弾被爆者別府温泉療養研究所「別府原爆センター」も、同様の理由で閉鎖。原対協などによると、広島、長崎両県以外で被爆者の温泉療養が目的の宿泊施設としては最後の施設だった。(森田晃司)

(2013年12月27日朝刊掲載)

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