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見守り・介助4割必要 自宅の65歳以上被爆者 厚労省05年度調査

■記者 岡田浩平

 厚生労働省は9日、2005年度に実施した被爆者実態調査の結果を公表した。自宅で暮らす65歳以上の被爆者4割が見守りや介助を必要とし、同年代のお年寄りの3倍超に上った。初めて対象とした海外に住む被爆者(在外被爆者)も75%が健康不安を訴えた。

 国内の調査は1965年から10年ごとに実施し5回目。今回は2005年9月1日時点の被爆者健康手帳所持者の25%に当たる約6万5千人に調査票を郵送、回収率は74.8%だった。平均年齢は73.5歳で前回(1995年)より6.6歳上がった。

 調査では65歳以上の在宅被爆者の39.8%が「手助けや見守りが必要」と回答。2004年の国民生活基礎調査の同じ設問に対する65歳以上の回答(11.8%)を上回った。自立度別は「日中もベッド上での生活が主体」3.8%、「排せつ、食事、着替えに介助が必要」2.2%などと4段階全てで被爆者の方が基礎調査より高かった。選択肢が異なり一概に比較できないが前回調査は「寝たきり」「寝たり起きたり」は計9.1%だった。

 2000年度に始まった介護保険制度の認定状況も初めて調べた。認定を受けた被爆者は17.3%の8440人。内訳は「要介護1」30.6%、「要支援」27.5%と突出し以下、介護度が低い順に約12~8%だった。

 一方、在外被爆者は被爆確認証交付者を含む全約3千人が対象。回収率82.2%で平均年齢は69.9歳だった。在宅の生活に手助けや見守りが必要としたのは約6割。心配な点は「自分や家族の健康」のほか「老後の生活」「経済上の困窮」が多かった。渡日治療の利用者は37%にとどまった。

 今回は調査から公表まで5年かかった。健康局総務課は「原爆症の認定基準の見直し、急増した申請への対応に時間がとられて作業が遅れた」と説明する。日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は「一般のお年寄りより被爆者の健康状態が悪いのは明らか。結果判明に5年もかかって施策にどれだけ反映できるのか疑問だ」と話している。

(2010年12月10日朝刊掲載)

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