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アフリカへ モザンビークの青年海外協力隊 <中> 農業土木 中川大輔さん(26)=三原市

一から水利整備 経験に

 モザンビーク北東部のナンプラ州。商店が並び、人があふれかえる州都ナンプラ市の中心部から北に約5キロ。サバンナ地帯にパイナップルやマンゴーの農園がある。「ため池など水利施設がすごく大事な存在」と強調する管理者のマンデラ・マヌエル・フランシスコさん(27)の言葉に、中川大輔さん(26)がうなずいた。

 中川さんは、州農業局で水利施設の整備を担当する部署に属し、土地がため池に適しているか調査する。設計を担い、配水に必要なポンプを配給、現地で指導することも。これまでにため池四つの整備、約20カ所のポンプ設置に関わった。担当は北海道と同じくらいの面積の同州全域。デスクワークもこなし、現場にも赴く。

 手つかずの広大な土地。地下水源にも恵まれているという。ただ国民の8割は自家用に耕作する程度の小規模農家。自前で設備を整えられない。農業局はそうした農家を支援している。

 「海外援助」にはずっと関心があった。農業土木の活用を学んだ北海道大農学部時代、この分野で関わりたいとの思いを深めた。しかし、卒業後1年は「何もせずふらふらしていた」。このままじゃ駄目だと、青年海外協力隊へ応募した。

 喜ばれる、感謝されることがやりがい。一方、住民のやる気を引き出す難しさを痛感する。「こうすればと助言しても、誰がやってくれるの、と返されることが多い」。公用語のポルトガル語のほか、文法が異なる現地語にも苦労した。

 モザンビークに来たことに後悔はない。「日本と違い生産基盤を一から造るところを経験できた」と振り返る。ただ、働いたことのないまま来たことで経験不足を感じている。現地の同僚の知識に驚くこともあった。来年1月に帰国する。日本で働き、幅を広げた上でもう一度海外へ。そう考えている。(新本恭子)

(2014年12月17日朝刊掲載)

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