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黒い雨データ 公開検討 放影研 連絡協に「点検の最中」

 被爆直後の広島、長崎で「黒い雨」を浴びたと1万3千人が回答したデータの存在が判明した問題で、保管する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は12日、データの公開などを求める広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会の要請書に回答した。放影研は公開や科学的解析に値するかを検討中、とした。

 協議会の高野正明会長たち14人が、放影研を訪ね、寺本隆信業務執行理事たちと非公開で面会した。放影研は全ての保管データを精査する作業をしていて1万3千人分の回答の存在が分かった、と説明。寺本理事は「データは入力が完了したばかりで、まだ点検の最中」と理解を求めたという。

 高野会長は「(黒い雨の指定地域見直しに関する)厚生労働省の検討会に早く公開を」とあらためて求めた。

 この日は上安・相田地区黒い雨の会(清木紀雄会長)も放影研を訪れ、データの説明を受けた。(金崎由美)


黒い雨データ 広島市も公開要請 市議会で局長答弁

 広島市は12日、放射線影響研究所に被爆直後に1万3千人が「黒い雨」を浴びたと回答したデータの公開を促したことを明らかにした。

 市議会一般質問で糸山隆健康福祉局長が答えた。市原爆被害対策部の担当者が11月末、電話で放影研に「データを発表していただくことが望ましいと考えている」と市の意向を伝えたという。

 市は10年にまとめた「原爆体験者等健康意識調査報告書」などを基に黒い雨の指定地域の拡大を国に求め、現在、厚生労働省の検討会が議論している。糸山局長は「データが発表されれば、その扱いについて検討会で適切な判断をしてもらえると考えている」と述べた。(金崎由美)


指定地域見直し 厚労省内で議論

 広島原爆で降った「黒い雨」被害の援護対象となる国の指定地域見直しで、厚生労働省の検討会のワーキンググループ第3回会合が12日、省内であった。課題の降雨域や健康影響に関し、分析方法でなお議論があり結論は出なかった。今月下旬の次回会合で詰め、報告書のとりまとめを目指す。

 全委員8人が出席し非公開で議論。座長の川上憲人・東大教授によると、客観的な降雨域の解析を進めてきたが、基となる広島市の「原爆体験者等健康意識調査報告書」のデータ不足や、解析方法で一長一短があり、確証を持てなかった。また健康影響の有無については、精神面を中心に分析を急ぐという。

 川上座長は「使える情報をまとめ、できるだけ確かな報告を検討会に出したい」と話した。(岡田浩平)

(2011年12月13日朝刊掲載)

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