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原発事故「収束」宣言 「今も放射能漏れ」 広島県内 反発の声

 野田佳彦首相が福島第1原発事故について「収束に至った」との認識を示した16日、福島県内から広島県内に避難している住民からは「とても収束したと思えない。戻れる状況ではない」と反発の声が聞かれた。

 同原発から13キロの警戒区域内にある浪江町から東広島市に避難している高田秀光さん(60)は「原子炉に穴が開き、今も放射能が漏れ続けているのにおかしい。年内の宣言ありきでは」と憤る。

 原発から40キロにある計画的避難区域の飯舘村から安佐北区に夫、子ども3人と移り住んだ青木千春さん(39)。「古里に愛着があり、戻れるなら戻りたい。でも、子どものことを考えると、戻れる状況ではない」と政府発表に疑問をぶつける。

 「首相は、子どもを持つ親の心配が分かっていない」と指摘するのは、福島市から3人の子どもと西区に自主避難中の菅野佐知子さん(39)。この日、広島修道大(安佐南区)で学生約200人を前に放射線被害の現状を報告した。「報道を見ても原発は今も危険な状態だと思う。安心して戻れるようになってから宣言するべきだ」と訴えた。(川井直哉)

(2011年12月17日朝刊掲載)

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