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平和への遺志 友人継承 証言活動に尽力 故沼田鈴子さん後世に

 平和記念公園(広島市中区)の被爆アオギリの下で修学旅行生に体験を語り、7月12日に87歳で亡くなった沼田鈴子さんの遺志を継承する活動の準備を友人たちが進めている。門出のイベントとして来月に「集い」を開催。証言活動の記録として遺品を活用する方法なども模索する。(金崎由美)

 沼田さんと親交が深かった市民団体「広島アジア友好学院」の山田忠文理事長(70)=安佐北区=たち5人が23日、遺族から託された段ボール20箱分の遺品や資料を、中区の活動拠点に持ち込み分類作業をした。

 手帳には証言活動のスケジュールや語りのアイデア、入院中の病状がびっしり。証言活動や戦争被害を受けたアジアの人たちとの交流を捉えた写真、全国の修学旅行生からの礼状も大量にあった。安田女子高で家庭科を担当した沼田さんの教え子篠田恵さん(79)=中区=は「証言活動に人生を懸けた姿がよみがえる」と目を細めた。

 「被爆者として、被爆時のけがで左足を失った障害者として生きた軌跡。被爆者運動の貴重な記録でもある」と山田さん。自分たちで活用するほか、保存・公開を担う図書館や資料室を募る考えだ。

 交流のあった元修学旅行生たちを招いての集い「沼田鈴子さんがまいた種 命の再生・希望の創造」は2012年1月22日午後1時、中区の県民文化センターである。参加費999円(学生無料)。生前の映像上映やトークなどがある。山田さんTel090(1337)6174。

(2011年12月24日朝刊掲載)

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