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被爆者医療費42件放置 13人計92万円 広島市、事務処理怠る

 広島市は18日、市内の被爆者13人から受け付けた計42件92万3012円分の医療費支給申請書を広島県へ提出せず、最長7年2カ月にわたり放置していたと発表した。担当者が事務処理を怠ったのが原因で、市は申請者らに謝罪した。県から全額が支給される見通しという。

 市原爆被害対策部によると、2008年7月~10年3月に受け付けた申請のうち、領収書など必要書類が不足していたケースを当時の担当者が後回しに。そのまま13年3月末に異動し、引き継がなかったという。次の担当が14年3月の異動間際に気付いて引き継いだが、後任も1年間放置。15年4月に引き継がれた今の担当が9月に上司に報告した。1人当たりの最高額は50万150円という。

 市は、被爆者が指定医療機関以外を受診するなどして窓口で支払った医療費について、申請書を受け付けて県に提出する事務を担っている。年間約3千件あり、通常は半年ほどで申請者に支給されるという。

 市は放置した13人の書類を順次、県へ提出しているが、2人は亡くなっており、遺族に支払われる。市原爆被害対策部は「迷惑を掛け申し訳ない。事務処理の進行状況の確認を徹底し、再発を防ぐ」としている。(水川恭輔)

(2015年12月19日朝刊掲載)

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