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「私の八月十五日」シリーズ化 ちばてつやさん・高倉健さん・水木しげるさん…

 終戦の日の思い出をつづった著名人の文章をまとめた本「私の八月十五日」シリーズが、戦後70年を機に出版された。寄稿した著名人の肉声を記録する「8・15朗読・収録プロジェクト」に取り組む東京都国立市の出版社「今人(いまじん)舎」が3冊を刊行。来年以降も出版を続ける。

 漫画家のちばてつやさん(76)や森田拳次さん(76)が中心になって2004年に刊行した「私の八月十五日」をことし4月、復刊したことがシリーズ化の契機になった。7月には2巻を出版。14年11月に83歳で亡くなった俳優高倉健さんらの文章に、ちばさんや森田さん、イラストレーター黒田征太郎さん(76)たちが絵を添えた。

 7日発売の3巻では、11月30日に93歳で亡くなった境港市出身の漫画家水木しげるさんの南洋群島での戦争体験を紹介。軍服を着た自身と兄を日の丸とともに描いた水木さんは「私はその時一言、『助かった』という言葉が腹の底から出てきた。(中略)毎日〝生か死か〟という気持だったから そんな気分から解放され、うれしかった」と書き残している。

 中国地方ゆかりの人物では、防府市の児童文学作家那須正幹さん(73)=広島市西区出身=や、満州(現中国東北部)から宇部市に引き揚げた映画監督山田洋次さん(84)、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さん(104)=山口市出身=も協力。来年に刊行する4巻では、島根県津和野町出身の画家安野光雅さん(89)の寄稿を紹介する予定だ。

 同プロジェクトは、すでに90人の朗読を収録。編集者大久保昌彦さん(34)は「戦争体験者の言葉をきっかけに、身近な人と平和について話し合ってほしい」と期待する。非売品の朗読音源と再生機器は、学習教材として図書館や平和団体などに寄贈している。1巻「昭和二十年の絵手紙」は3456円、2巻「戦後七十年の肉声」と3巻「今語る八月十五日」は3024円。今人舎Tel042(575)8888。(石川昌義)

(2015年12月22日朝刊掲載)

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